2020年03月20日
世界は続いていく
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煌一朗「オレ、旅に出ようと思うんだ」

日方「……いきなり何?」

百鬼一族が阿朱羅を打倒し、呪いを解いて早数ヶ月。
何もない退屈な世界に天界最高神が舞い降りた。
彼女は笑顔で言った。──「悲願達成の祝いに本当の神様として挙げましょう」と。
煌一朗「オレ達がここから出れないのは氏神だから……なら、今なら神様の世界に出れるってことじゃん?」
日方「そうだね」
煌一朗「だから外に出て、色々経験を積んでみたいんだ!」
日方「殊勝だね。……で、何か目的があったりするんだろ?」
煌一朗「よく分かったな」

煌一朗「オレは使命を見つけたい」
日方「……」
煌一朗「祖母ちゃんはこれからも一族を見守る使命がある。境吾は魂を送る使命。日方は……よく知らないけどあるんだろ?」
日方「一応ね」
煌一朗「だけどオレには無い。こうしたい、ああしたいって衝動は何も無いんだ。だから、探しに行きたい。それに、何もせずここに留まるよりは遥かにマシだろ!」
日方「……そうだね」
煌一朗「あと、それ以外にも旅をしたい理由があるんだ」
日方「?」
煌一朗「城奈、どうしてるかなあって……」
日方「……ああ」

煌一朗「連れて帰るつもりとかはないけど、せめて顔だけでも見たいんだ」
日方「……」

日方「……ねぇ、煌一朗」
煌一朗「どうしたんだ?」
日方「それ、僕も付いて行っていい?」
煌一朗「日方が?」
日方「悪いなら別にいいけど。一人でどっか行くだけだし──」

煌一朗「やったー!!!!!」
日方「っ、いきなり抱きつかないでよ気持ち悪い」
煌一朗「本当は一人だと心細いなって思ってたんだよ〜〜! 多分帰ってこれないし!!」
日方「あー、確かに」
煌一朗「日方がいれば絶対帰ってこられる!! そういうの詳しそうだし!!」
日方「まあ君よりは道把握できるんじゃないかな」

日方「(……僕は君が使命を見つける必要は無いと思うんだけど)」
日方「(というか)」
日方「(変わらないことこそが君の使命なんじゃないかな、……なんて言ったら可哀想だよね)」
◇

煌一朗「ってことで一緒に旅に出てくる!!」
美晴「そうかそうか。気をつけてけよ」
日方「お土産、何か欲しいものある? っても、すぐには帰ってこないけど」
美晴「酒とか?」
日方「持って帰れるかなあ。呑んじゃいそう」
煌一朗「お前そういうとこあるよな」

煌一朗「……じゃ、行ってきます!!」

美晴「おう、行ってらっしゃい」


──戦いは終わった。
しかし、全てが終わった訳ではない。

今生を生きる子供達は思い思いに生きて、そして死んでいく。

死んで神になった

どちらもまだ始まったばかりだ。
生きたその先に何があるのかは判らない。

果たして生きていて良かったと思える希望か。

はたまた早く死んでしまいたいと思える絶望か。
判断することさえ、出来ない。

──例え何があっても。それでも。
それでも世界は続いていく。

「だからアタシはずっと見守り続ける」
「せめて、この一族の全員が幸せになれるように、ってな」
「"お前ら"だって、それを願ってるだろ?」
「なあ、──────」

◇
百鬼家 秘聞録の本編の更新は以上となります。
時間が足りなくて没になった漫画や後にしっかり噛み砕いた結果の漫画、らくがきログはあげに来るかもしれませんが、この続きの話は絶対に描くことはないですし、確定もしません。
プレイヤーは呪いを解いた先を見ることは出来ないからね……
第八世代が、氏神たちがこれからどうやって生きていくのか、何があるのか、それは想像にお任せします。
なので、もしプレイヤーが将来のことを話してたら二次創作的妄想だと思ってほしいです。野生の公式的な。
あとこっそり、こちらに感想を乞食してみたり……
百鬼家の中で好きな子がいたり、この展開や話が好きっていうことがあったりしたらお気軽に投げてくれるととてもとても嬉しいですし励みになります。
この後も俺屍はしていきたいし、プレイ記もまた書きたいなーとは思っています。が、諸々の事情でいつ始めるかなどは未定です。
その時はまた、見てくださるととても嬉しいです。
それでは改めまして、今までありがとうございました!